黒沢清監督が、1998年に劇場公開された同タイトルの自作をフランスを舞台にセルフリメイクし、自ら「最高傑作ができたかもしれない」と公言するほどのクオリティで放つリベンジ・サスペンスの完全版『蛇の道』が、6月14日より公開中。
8歳の愛娘を何者かに殺されたアルベール・バシュレは、偶然出会ったパリで働く日本人の心療内科医・新島小夜子の協力を得ながら、犯人探しに没頭。復讐心を募らせていく。だが、事件に絡む元財団の関係者たちを拉致監禁し、彼らの口から重要な情報を手に入れたアルベールの前に、やがて思いもよらぬ恐ろしい真実が立ち上がってきて……。
そんなアルベールの復讐に協力する小夜子に扮したのは、黒沢監督からの熱いオファーに応えて出演した柴咲コウ。全編フランス語で挑んだ柴咲は、パリで働く日本人の心療内科医という役どころ。
オリジナル版、哀川翔と香川照之が共演した1998年のVシネマ(ビデオ映画)『蛇の道』との大きな違いは、舞台が東京からフランスのパリに、主人公が男性の教師から女性の心療内科医に変わっているところだ。
黒沢監督は「脚本の初期の段階から主人公を日本人の女性にしたいと思っていました。フランス人の男性たちの中に日本人の女性がひとりいるという構図になったことで、一見弱々しく見える彼女が実は全てをコントロールしているのではないか、という雰囲気が強くなったような気がします」とキャスティングの裏側を語っている。
復讐に燃えるアルベールのキャラクター映像が到着。演じたのは、第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員賞に輝く『レ・ミゼラブル』(2019年/ラジ・リ監督)で、フランスのアカデミー賞とも言われるセザール賞の主演男優賞にノミネートされた注目のフランス人俳優ダミアン・ボナール。
インタビューでボナールは黒沢清監督作品について、「『CURE』『地獄の警備員』『カリスマ』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』が好きだ」といい、物語から、交差する世界やテーマに至るまで、さまざまな理由で「私に感動を与えてくれる」と理由を語る。そんな黒沢組に初めて参加したボナールは「力強い演出、目指すものを分かち合う方法を知っている監督のビジョンに導かれ、参加できることは本当に嬉しいことだった」と撮影を振り返る。
共演した柴咲については「いくつもの顔を持ち、非常に繊細で性格な演技をする俳優で、なにより驚くべきエネルギーを持っている」と賛辞を惜しまない。演じたキャラクターのアルベールという男にひかれた、というボナールは、彼が経験している世界の狂気をどのように伝えることができるのか、脚本を読んで理解したという。「彼が迷っていること、原因に対する答えを持っていないことが、何よりも重要だった」と役どころへの理解を語っている。
監督・脚本:黒沢 清
出演:柴咲コウ、ダミアン・ボナール
西島秀俊、青木崇高
言語:フランス語
原案:『蛇の道』(1998年大映作品)
製作国:フランス/日本/ベルギー/ルクセンブルク
製 作:CINEFRANCE STUDIOS KADOKAWA
上映時間:113分 レイティング:G
配給:KADOKAWA
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