四月になれば彼女は
原作/川村元気
おそらくいちばん知られている映画プロデューサーの1人
「電車男(05)」のプロデューサーとして一気に知名度が上がった人
「デトロイト・メタル・シティ(08)」
の後
「告白」
「悪人」
といった話題作、社会派映画もプロデュースをした人
近年では「君の名は。(16)」「天気の子(19)」「すずめの戸締まり(22)」といった
新海誠監督作品のプロデューサーもしており、実写、アニメ関係なく実力を発揮
監督としても「百花(22)」デビュー
おそらく彼がプロデューサーだから佐藤健の出演が合ったと言っても過言じゃないと思う
監督/山田 智和(やまだ ともかず)
長編映画初監督
出演/
佐藤健
長澤まさみ
森七菜
仲野太賀(ペンタックス役)
河合 優実(かわい ゆうみ/純役)
竹野内豊
サイモン&ガーファンクルの名曲がタイトルになっていることも合って、いろいろな意味で期待をしていた作品
予告編を見る限り、過去の彼女との別れからのトラウマで結婚を直前にバタバタする映画だろうなぁ
とおもったらその通り過ぎたのではあるが、かなり心理描写など「観た側にゆだねる」部分が多々あるので、賛否がかなり明確に分かれそうな予感
あと、原作を読んでおかないと心理描写の部分などはかなり分かりづらい部分があるので、原作を事前に読んでおくのが推奨の映画なんだが、それが良くも悪くも映画としての完成度としては若干弱くなってしまった感がある。
とはいえ原作と映画はかなり違う展開になっているので映画では描かれていない心理描写を知るファクター思うほうがいいかもしれない
結婚式場を婚約者の弥生(長澤まさみ)と見て回るフジこと藤代(佐藤健)。彼女の意外な一面を知るときも大きな驚きなどの感情を出すのではなく淡々と寄り添うように弥生を見つめる。
二人は同棲生活をしているものの、寝室は別々という婚約しているのが共同生活とも言える状況だった。
夜、いっしょに買い揃えたワイングラスを落としてしまい、砕けてしまった次の日、弥生はウジの前から消えたのだった。
友人のタスク(仲野太賀)の店で飲みながら、弥生のことを思うフジだが、会話の中でふと出てきた10年前の学生時代の元カノ春(森七菜)のことが心の奥で思い出すのだった。
それは最近になって春から手紙とともに写真を受け取っていたからだった…
弥生はどこに消えたのか?別れて10年たった今もフジのことを思っているのだろうか?
役者が全員素晴らしい
佐藤健の精神科医でありながらも、落ちこぼれ感のある雰囲気と、なんだかんだ精神的に成長しきれていない男の雰囲気は見事。
過去の恋愛の経験が真剣だったからこそ、1歩を踏み込めなかった自分にどこか自信がない…というのも見て取れてしまうほどの迫真の演技だったといる。
現代の淡々とした喋り、学生時代のちょっと青春を謳歌しつつある初々しい感じなど年令によって違う雰囲気を出していたのすごかった
長澤まさみも等身大…ともういべき年齢の役どころも合って、心理面での不安を感じさせる微妙な表情の変化がよかった。
ワイングラスが割れたあと、フジ(佐藤健)が淡々と片付けをしている姿を見て、
こみ上げてくるような焦燥感にを思わせる微妙な目と表情の演技からはじまり、様々なシーンでの演技には注目だろう
そして森七菜
健康的イメージのある彼女がこの役を演じたことと、演じきったことは拍手を送りたい
世界各国で様々な風景を見る姿は本当に感動したのもあると思うが、大スクリーンに映し出される美麗な風景と合わせて森七菜の演技が観られるのはこの映画のいいところだろう
そして竹野内豊の父親役の狂気と愛が混じり合ったサイコ感を感じる演技はすごい
わずか数分でありながらも、あの数分で、春(森七菜)が抱えて押し潰れそうになっている父親の存在の重さを感じさせるには十分すぎるほどのインパクトである。
さらに仲野太賀
1人で生きていくことを決意した…という彼の真実の部分を、ニュアンスで感じさせる最初のシーンからの、パズルの答え合わせのある斜め上上空からカットで完結する流れに至るまでの、言葉の最後の雰囲気が「もしかして、そうなのか?」と思わせる微妙な感じの演技には脱帽。
ただ、映画のキーとなるのが「愛を終わらせない方法」をいう禅問答のようなワードに関しては
非常にわかりにくい…という感じがするし、
この映画を見るまでの恋愛経験や人生経験によって感想がかなり上下するのは仕方ないだろう。
3人の主人公ともいえるそれぞれの人間としての成長であったり、過去との決別がしきれないことであったり、漠然としている愛する…ということを同自分で咀嚼するのか?といった事も含めて、誰に共感するか?で映画の心象も感想も変わってしまう。
春との恋で、春の父親の存在からは逃げることしかできなかったフジの殻
愛をなくさない方法という漠然とした不安から婚約破棄の経験をした弥生の殻
父親の束縛と自身の行動力のなさから何もできなかった春の殻
3人のうち、唯一殻を破ることができた春の存在が2人の殻を打ち破ることになる…という流れがどうしてもわかりにくいかもしれない
愛の形はさまざまである…とう多様性を描いている一方で普遍であることが理想であることも描いている。
現代的なラブストーリーである一方で、キラキラするようなシンプルな恋愛映画ではなく
大人の階段を登り、精神的にも成長をするためのラブストーリーであることを知ってみれば、少しは良さを感じされるかもしれない
細かな部分でのツッコミをあげだすときりがないだろうが、そこは想像を働かせば自ずと答えが出る部分もいくつかある
とはいえ、春が海外旅行にいかない選択をした背景や弥生の行動心理といった部分は説明もないまま展開していることがほとんどなのでそこで「??」が付く人が出るのも仕方ないだろう
中途半端に説明シーンを入れずに108分という短めの上映時間を考えると、小説とセットで見るのがいいのかもしれない…
愛を失わない方法は、人それぞれの中に答えがあり、その答えを見つけるには1人では難しいことだと思う
哲学的なワードではあるが、とても大切なことだとは思う
ただ万人に「名作!ぜひ観て!」と大声でおすすめする作品ともならない感じがするが、個人的には満足はした映画ではある
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