石井裕也監督最新作、松岡茉優と窪田正孝をW主演に迎えた『愛にイナズマ』が27日より全国公開。
石井監督が描くのは、今の社会を予見したかのような“アフターコロナ”の世界。コロナ禍の終わりが見え、確かにあった様々な歪みや理不尽が急速に忘れ去られようとしている今、「時間が過ぎたからといって、不都合な事実(真実)を無かったことにはさせない」との監督の想いで生み出された本作は、社会の理不尽さに打ちのめされた恋人たちが、10年ぶりに再会したどうしようもない家族の力を借りて反撃の狼煙を上げようとする、愛と希望とユーモアに満ち溢れた痛快なストーリー。
卑怯な大人に騙され大切な夢も何もかも全て奪われた末っ子の花子(松岡茉優)と空気の読めない彼氏の正夫(窪田正孝)、どうしようもない花子の父(佐藤浩市)と、二人の兄・長男の誠一(池松壮亮)、次男の雄二(若葉竜也)ら超豪華な“家族”が勢ぞろいした『愛にイナズマ』。W主演&初共演を果たした松岡茉優と窪田正孝がクランクアップ直後の熱冷めやらぬ時に、“本音“で語り合ったインタビュー映像が解禁。
撮影直後ということもあり、役の衣装のままの二人は真剣な面持ちで初めて脚本を読んだ感想や、お互いの印象を語った。最初「やり切れる自信がなかった。自分のスキルと覚悟ではできないんじゃないかと思ったから、一瞬(脚本を)置きかけました」と、本作から受けたエネルギーに圧倒されたと、石井組初参戦の松岡茉優は語る。
「できない」と思っているってことは、自分の(心の)奥の琴線に触れている」と冷静に自己分析をしながらも、「(理不尽な世界に正面から向かい合う)花子の叫びが、全部私が知ってる気持ちだな」「彼女の気持ちを私が代弁させてもらいたい」と、石井裕也が生み出した花子というキャラクターへ寄り添っていった過程を明かした。そして、「雲を掴むような役どころ」と正夫役を評す窪田は「石井さんが書き下ろした脚本ということに、まずすごく興味がありました」と、もともと石井監督とその脚本へ俳優として興味を持っていたことを語ると「(脚本には)愛を込めて、皮肉めいたメッセージが散りばめられていたのを読み、それが日ごろ自分が疑問に感じていたことと一致していた」と、松岡と同じ共感し、そして「燃える何か」を感じたという。
そんな、共通の意識を持って撮影に挑んだ2人は、お互いの印象に話が及ぶと、松岡は窪田に対して少しずつ距離を縮めつつ「柔軟で軽やかで優しくてフラット」と尊敬の眼差しで語り、窪田は「お芝居へのアプローチの多彩さ、多面さ、吸収率の高さがすごかった。毎日圧倒されてました」と、お互い至近距離での「ベタ褒め」に照れながらも、W主演としての相性の良さを感じさせた。
最後に、公開を待つ観客へのメッセージを聞かれた松岡は「不器用だけど一所懸命生きているあなた」にはきっと届く物語だと思います」とカメラの前の観客に語りかけると、窪田は「人間の本質をついた、体にイナズマが走るような作品」と太鼓判を押した。