『国宝』2025年の日本映画。吉田修一自身が3年間歌舞伎の黒衣を纏い、書き上げた渾身作が堂々の映画化。本作のメガホンを執るのは『フラガール』で第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞した李相日監督。
四代目中村鴈治郎が本作の歌舞伎指導に入り、本編に俳優としても参加。緻密で繊細な所作を、女形を演じる俳優陣へ擦り込み、作品を更に高みへと引き上げる。
主演を演じるのは、その美貌と圧倒的演技力で、脚光を浴び続ける吉沢亮。そして横浜流星、渡辺謙、高畑充希、寺島しのぶ、田中泯、永瀬正敏、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、嶋田久作、宮澤エマといった、主演級の俳優たちが一堂に揃い、物語を更に美しく、熱くする。
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。抗争によって父を亡くした喜久雄は、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人はライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが運命の歯車を狂わせてゆく…。血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。「歌舞伎」という誰も見たことのない禁断の世界で、激動の時代を生き抜きながら、世界でただひとりの存在へ――。