「生きているだけでいい」俳優・山田裕貴さん 戦争を語る…沖縄・伊江島の戦いが映画化 終戦後に“木の上で2年”“銃弾と共に生きた”日本兵の思い【news23】|TBS NEWS DIG



「沖縄戦の縮図」とも言われる沖縄・伊江島での戦い。この島では終戦を知らず2年間を木の上で過ごした日本兵がいました。今年、その史実を基に製作された映画が公開されます。極限状態の中で生き抜いた日本兵を演じる俳優・山田裕貴さんが撮影を通して感じた戦争への思いを語りました。

■終戦を知らず木の上で2年…晩年まで伝え続けた「戦争は避けなくてはいけない」

映画「木の上の軍隊」は、沖縄県・伊江島で終戦を知らず、2年間、木の上に身を潜め続けた日本兵2人の実話を基にした物語です。このうちの一人、佐次田秀順さんをモデルとした兵士を俳優の山田裕貴さんが演じました。

山田裕貴さん(34)
「ご飯があること、飲み物が飲めること、これは僕、日々感謝しようって思っていて、日々ありがとうって思っているんですけど、改めて強く大事だなって、当たり前ではないなってことを強く思いました」

映画の舞台となった伊江島。米軍から激しい攻撃を受けたほか、ガマに逃げ込んだ住民が自決するなどし、当時、島にいた住民の半数、約1500人が犠牲になりました。

取材に応じてくれた佐次田さんの息子・満さん(77)は、この戦いで銃弾を受け、亡くなるまで足を引きずる父の姿を間近で見てきました。

秀順さんの息子 佐次田満さん
「火葬をしたときに銃弾がでてきた。だいぶ変形して、父親からしてみたら銃弾が自分のカラダから離れて、それでようやく戦後が終わったと」

自らの体験は、ほとんど語らなかったという佐次田さんですが、「戦争は避けなくてはいけない」。晩年まで、そう伝え続けていたと言います。

演じた山田さんは…

山田裕貴さん(34)
「自分が起こせる波紋なんて、きっと大したことないのかもしれないけれど、こういう作品を通して見てもらって、生きてるだけでいいじゃんみたいな、ちっちゃなことで悩んだり争うのやめようみたいな、そういう心が伝播していくだけでも世界を変えてるのではと、どうにか思いたいし、そういったことを伝える中で、ちょっとでもそういう広がりがあれば、それがいつか僕の世代ではないかもしれないけど、いつか平和な日が来るのかななんて夢見ています」

■“沖縄戦の縮図” 伊江島の戦い 「一人ひとりの戦争体験のミクロの視点を」

藤森祥平キャスター:
山田さんは役を演じる上で、表現は所詮作り物だから、とにかくどれぐらい真実に近づけるかというのを、“ひたすら当事者の気持ちを想像する”とお話をされていました。

今も世界でいろんな戦争が起きている中で「生き続けたい」と、何とか力を振り絞っている人たちの声を、私たちは想像し続けないといけないですよね。

株式会社 QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
よりリアルに、手段としての戦争・防衛について考える場面が増えた中で、もちろん綺麗事だけで国を守れるとは思わないけれども、やはり一人ひとりの戦争体験というものがあり、一人ひとりが戦争の被害者である。我々はそのミクロの視点を、まず手段を語る前に必ず思い浮かべなければならないですよね。

戦争の持つ実感というのを、いま日本に生きているほとんどの国民は味わえていないですが、語り継がれてきた手触りというのは、我々がまず思い浮かべなければいけないポイントなのかなと思います。

小川彩佳キャスター:
佐次田さんのご遺体の中に残されていた銃弾を目にしたとき圧倒されるものがありました。やはり人生を全うするその瞬間まで、佐次田さんの中で戦争が続いていたんだな、ということを感じました。今も伊江島には基地が広がっているその景色の前には、80年前というのはそう遠くないということを改めて実感させられました。

小説家 真山仁さん:
一方で、80年間日本は戦争に巻き込まれていない。ただ、世界中でずっと戦争は続いてます。今もずっとやっています。

6月になると沖縄、8月になると日本全国が戦争の話になる。これはすごく大事なことだし、語り部がいることも、こういう映画で語り継がれることも大事なんですけれども、もう一歩踏み込んで、誰もが駄目だと思っている戦争がなぜ起きるんだというところが本当に重要。それをそれぞれの人がまず想像から始めて、何でこんなことが起きちゃったんだろうということを踏み込んで話し合う機会みたいなことをやらないと、結局経験者がいなくなってくるので、気づくと戦争に巻き込まれてしまっているということが起きるかもしれない。

だから、戦争について考えるときが風物詩になってはいけないと思います。毎日、いつでもどこでも起きるかもしれないということを考えると、やはり「なぜ」というところにもう少し我々が踏み込まなければいけないのではないかと思います。

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<プロフィール>

真山 仁さん
小説家「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」

伊沢 拓司さん
株式会社 QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中

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20 comments
  1. 戦争は悲惨なもの悪といわれ続けている

    でも戦わなければ国家、国民はそれ以上の悲惨な目に

    遭遇しなければならないことがある

    大東亜戦争は逃げも隠れもしない

    国家、国民の安全と平和を護るため武器を取り決意した戦いです

  2. 真実を隠し

    覆い隠すものは誰か

    英霊をおとしめたもの

    それは戦後すぐに始まった連合国軍による極東国際軍事裁判(東京裁判)

    この裁判で一方的に日本の侵略戦争が押しつけられ

    日本軍の残虐行為と呼ばれるものが

    ほとんど証拠もないままに確定され

    その判決を今も正しいものとして利用する人々(日本人)がいる
    靖国神社で祀られる英霊は
    いまだ”侵略戦争”の”汚名”をきせられたまま

    このままじゃ

    爺ちゃん、婆ちゃん達に申し訳ないと思います

    靖国神社に祀られる戦没者246万6584柱英霊

  3. 最近話題になった「ひめゆりの塔資料館」または、広島や長崎、全国各地であの大戦を伝える事の重要性、この映画もその一つなのだろう。

  4. 戦後、多くの戦争映画が作られてきたが、東宝の戦記物の様な鎮魂・慰霊を目的に、その悲劇を描く作品。独立系の左翼がソ連・中共に都合の良い、日本の再軍備を防ぐ世論を作るためのプロパガンダ作品が目立つ。しかし、戦争に至る経過を、国際情勢や個々の国家組織や世論やマスコミの動向を、多面的に描いたような映画は一つもない。所詮、エンターテイメントだから仕様がないと思うが、一面、本気で戦争を繰り返してはいけないという思いは有るのかなとも思う。オールドメディアの戦争特集も同じ。

  5. まあ戦さはやってみなければわかりませんよ。

    日清戦争に負けていたら沖縄は中国なのだから勝ってよかった。

  6. 気付けば、新しい戦争というより、古傷を思い出しては繰り返す戦いが多いよね。火種を消しきれない、ような。
    日本は禍根を断ち切った。GHQの洗脳だけじゃない。ご先祖があの経験を繰り返したくないと努力されたことを受け継いできたことが大きかったのだろう。山田さんが、おそらく言葉を選ぶうちに胸にしまわれたそういう人たちへの思いが伝わる。
    いまに生きる私たちに語ってくれたことを受け止めた。生きていられることに感謝できたら、もっと日々を大切に過ごせると思う。

  7. 戦争と平和の二元論を道徳的に見ている時点で、先が危ぶまれる。なぜ科学的視点で考えない? 国を守る戦争は否定しない事が重要だ。過去は過去、今は今。

  8. いろんな世代に伝えることは大事ですね。戦争経験者がだんだん亡くなっていくし、若い世代は平和やなんでもあるのが当たり前だからそういう負の歴史や今の日本の平和の影に尊い犠牲者が多くいる事を知らない。今でも発展途上国では大小様々な争いが起きている。防衛は大事ですが、武器をビジネス化や弾薬の流通は徹底管理や規制しないと。
    個人的には広島の平和記念公園や資料館に行けば、想像ではわからない自分の目や感覚で感じるものがあると思います。

  9. 先行上映で観た人達の感想を読むとこの映画は子供達にも趣旨が伝わる小難しい映画ではないそうです。多くの人達にこの映画で何を伝えたかったのか届くといいですね。

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