宝石の国 大好きなシーン



原作 : 市川春子
監督 : 京極尚彦

アニメ 第十話
絵コンテ・演出 : 武藤健司
CGディレクター : 越田祐史
音響監督 : 長崎行男
音楽 : 藤澤慶昌
ダイヤモンドcv : 茅野愛衣
ボルツcv : 佐倉綾音

カメラワークを模した作画構成やVFXが魅力で、緊迫した状況に身を置く臨場感が素晴らしいです。そこに音響と、場面進行を追うように同期する音楽がしっかりと支え上げていますよね。
戦闘が始まってからもなるべく1カットにこだわり、スピード感や躍動感を持続させ、そこに力感も持ってくる。原作への敬意のみならずアニメーションの力も見せつけてくれます。

敵である月人は空から現れるので、必然的に平原や大空での戦闘がまず思い浮かぶ作品ですが、これは限られた空間内で敵を足場にし、しかも自らの破片や鋭利な欠損部を武器にするといった泥臭さが印象に残る異色の場面かと思います。
全ての色を昇華させたような澄んだ髪のダイヤが、それに似つかわしくない捨て身の闘いに挑みます。

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硬度が高く戦闘能力も決して低いわけではないダイヤ。ですがパートナーである優秀な弟のボルツからは「身の程を知れ」「お前にできる事などない」と、まるで憎悪ともとれる厳しい言葉を叩きつけられる日々。
それもそのはず、同じダイヤ属でもボルツは特別。対してダイヤは性質上の脆さがあり欠けやすい。誰よりもダイヤ本人がそれを憂い、つい「ボルツさえいなければ…」と本音を漏らしてしまうことも。
そんな複雑な思いがあり、優しさも人一倍強い性格でもあり、それらが捨て身の戦闘スタイルとなって現れているのか、ひとつ間違えると回復困難なダメージを負い、そのまま月人にさらわれる可能性も高くなる。
大好きな弟の力になりたいのに、いつも足を引っ張ってしまう。

私がダイヤモンドでなければ、誰と比べることなく、見栄を張らず、嫉妬もしなくて済んだのだろうか。
様々な出来事を経て、ダイヤはボルツから離れることを決意。ボルツは戦闘において撤退という選択肢を迷わずとれる判断力もある。
弟は判断を誤らない。パートナーに相応しいのは私ではない。そう決めたのも私自身。それでも…

やっぱり大切な人のそばにいたい。そのためにも一人で戦えるのだと誰よりも自分自身が分かっていたい。
きっとボルツは認めてくれないだろう。だから、これは自分のため。体が砕けてもいい。どんなやりかたでも一人で倒す。砕けるのは体だけでいい。

鉱物を擬人化していますが、その特性をモロに感情や性格には反映させず、あくまでも特性と心を切り離し対峙させるような構図だから、これほどのドラマになるのだと思います。
アイデアも凄いですが、それを物語にしてキャラに命を持たせるとか・・・本当にすごいですね漫画家さんは。

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