薬が効かない「薬剤耐性菌」とは 加藤綾子【3分でわかる】



「悪夢の細菌」と聞くとホラー映画のようだが、わたしたちにとって遠い話ではなく、むしろ身近な話。この細菌とは、薬が効かない、薬剤に耐性のある「薬剤耐性菌」のこと。

2018年に世界でがんにより死亡する人は、960万人と予想されている。

一方で、このまま薬剤耐性菌に対して何も対策が講じられなかった場合、2050年に、全世界で死者は1,000万人になると予想されていて、がんを上回る人数だと予想されている。

国立感染症研究所によると、既存の抗菌薬、いわゆる抗生物質がほぼ効かない、海外発の強力な薬剤耐性菌が、国内でも増えていると報告している。

検査を始めた2017年は、6都県で13例だった。

しかし、2018年では、16都道府県で42例と広がっている。

この耐性菌は、重い感染症の治療で「最後の切り札」といわれている抗菌薬が効かないケースを指している。

そのため、アメリカの疾病対策センターでは、これを「悪夢の細菌」と呼んでいて、最も脅威の耐性菌と位置付けている。

なぜ薬剤耐性菌が増えるのか。

いろいろ理由は考えられているが、大きな原因は、わたしたちの抗菌薬、いわゆる抗生物質の使い方にある。

皆さん、もちろん風邪はひいたことあると思うが、実は風邪自体には、抗菌薬は効かないとされている。

というのも、風邪は細菌ではなく、ウイルスによってかかるもののため。

もちろん、症状や人によっては抗菌薬が必要なケースもあるが、あくまで一般的には、風邪には抗菌薬が効かないとされている。

薬局で売られている市販の風邪薬も、風邪のつらい症状を和らげるためのもの。

実際に症状が改善したりするが、これは、原因であるウイルスそのものをやっつけているわけではない。

最終的には、風邪を治すのは、その人自身の免疫力によるもの。

そのため、本来飲む必要のない症状の人が抗菌薬、抗生物質を飲むことが、耐性菌が増殖してしまう1つの原因とされている。

というのも、わたしたちの体の中には、良い菌もたくさんいる。

無害な細菌、有益な細菌、いわゆる「善玉菌」というのも多くいる。

しかし、抗菌薬を飲むと、大多数の細菌は殺されてしまう。

しかし、この時、抗菌薬に耐えられる耐性を持った少数派の細菌が、どんどん増えていく。
普段は少数派で、活躍する場もない、こういった少数派の耐性菌が多数派になってしまうということ。

そうなると、いざ本当に抗菌薬が必要な症状の時、実際に抗菌薬を飲んでも効かなくなってしまって、場合によっては長期の入院、または命を落とす場合につながることもある。

抗菌薬は、必要な人にはもちろん必要だが、不要な人には悪い効果しかない。

薬剤耐性菌に対する対策としては、抗菌薬は、本当に必要な場合にのみ使うということが求められていて、医師から適切に処方されたものは、症状が改善したからといって途中でやめるのではなく、最後まで指示通り服用することも、わたしたちにできる大切な心掛けとなる。

また製薬会社も、耐性菌問題には、これからの社会のために取り組んでいる。

抗生物質は、すごく身近な存在だが、必要な時に必要な量を医師の処方通り飲むことが大切となる。

(2019/12/16)

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16 comments
  1. 韓国は、生鮮マスから基準値超の抗生物質製剤オキシテトラサイクリンが
    大量に使われている位ですから韓国からでは???

  2. 風邪で抗生剤をホイホイ処方する医師はまだ多いです。特に開業医は評判に関わるから、ヒドイものです。厚労省で風邪に対しての抗生剤の使い方の手引きも、数年前から医師向けに案内されてます。本当に見もしない医師が多いのだろうなあー。

  3. 医師の中には、簡単に抗生物質薬品を処方する者が結構おられます
    風邪ならば、肺炎防止にとか、充分注意する事です。風邪はウイルスが要因で自分の免疫力で治す事を絶えず頭には入れておくべきです

  4. 日本の問題はキノロン系のような第三世代や強い抗菌剤を処方しすぎる。第一世代の抗菌剤で十分効果あるのに、収益増加のため強いものを出しているわけ。
    患者のせいにしないで。
    農業での抗菌剤の常用はなぜ議題にされないのか?
    抗生物質の耐性菌は34億年前でもありました。抗菌剤を減らすことだけで解決とならないし、代替治療の開発への投資が必要。

  5. 抗生物質1日3回を一週間分出されますよね。飲みきるように言われますができれば良くなったら飲むのをやめたい。

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