今回は映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』について、徒然なるままに語らいます。
※※ 回の後半は、多めにネタバレを含みますのでご注意ください ※※
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『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024年製作・日本)
20年超を駆け抜ける役者陣がすごい/まつ毛の先まで演技/ろう者が黙るとき/老化と障害/ふたつの世界の間にある「書く」ということ/ここが好きだよ呉美保監督作品
【ざっくり内容&映画のみどころ】
宮城県で耳がきこえないろう者の両親に育てられた、五十嵐大。大はコーダ(Children of Deaf Adults・耳のきこえない・きこえづらい親の子供のこと)として、幼い頃から両親と近所の聴者の人々の間に立つ「通訳」のような役割を担ってきた。両親と手話を使って会話しているところが好奇の眼差しにさらされ続け苛立ちを覚え、自分は何者なのか何をしたいのかもよくわからぬままに故郷を出て、東京で暮らし始めるが…。
(当然そうあるべきなのになぜかなかなかそうなっていない)ろう者役はろう者が演じる、が徹底されている作品。家や職場等の物語の舞台の細かな作り込みも、作品に立体感を与えている。バリアフリー字幕版も製作され、盲ろう者用シナリオデータも提供されている。
五十嵐大役は吉沢亮、大の母・五十嵐明子役は忍足亜希子。
原作は五十嵐大、監督は呉美保、脚本は港岳彦。
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